デジマ担当者のためのリードが獲れるコンテンツマーケティング実制作の秘訣 第3回

「商材」と「ターゲットの興味・関心」をつなぐ

2018.01.23

コンテンツマーケティング

  • 雨宮 健人

    コンテンツ本部 本部長 雨宮 健人

「商材」と「ターゲットの興味・関心」をつなぐ
Webコンテンツ作りは、コンテンツマーケティングを成功させる最重要キーでありながら、担当者が最初にぶつかる壁でもある。第1回にて、リードが獲れるWebコンテンツにおいて重要なのは、「ブランドや商材の購入・導入で解決できる課題から逆算して、多くの企業が持つ一般的興味につなげる作業だ」と述べた。今回はその手法について掘り下げる。
聞き手:営業開発部 清水 秀起

「企業の売りたい商材から逆算して、ターゲットの興味・関心に結びつける」とは、具体的にはどうWebコンテンツを作ることなのでしょう。

雨宮 仮に、自社の売り物がセキュリティー商材だとしましょう。読み物コンテンツの中で、セキュリティーの必要性を訴求し、その具現例として自社の商材を結び付けられれば、一つの美しい形です。ただこの形ですと、少々直球過ぎて、予定調和的、広告・宣伝的な印象をターゲットに与えてしまいます。

より効果的にターゲットの興味・関心を突くには、商材の必要性の「その先」を想像してみてはいかがでしょうか。ターゲットにリーチする幅がより広がり、興味・関心に引っかかる可能性が増すからです。

「その先を想像する」とはどういうことですか。

雨宮 例えば、今なら「働き方改革」はどこの企業でも興味・関心の対象になっています。背景にあるのは人手不足です。人手不足を解消するためには、採用などで戦力の補強をすればよい。でも、どこの企業もそれがままならない。かといって現有戦力を長時間働かせるのもいまやご法度。そうした状況下の場合、在宅勤務のような就業形態であれば、戦力補強が可能かもしれません。するとそこには、テレワークの需要が潜んでいる。社外でも社内と同等の仕事ができるようにするには、セキュリティーをしっかりしないといけない。

そこでWebコンテンツのテーマを「テレワーク」とか「在宅勤務」にしてあげる。そうすると、一般的な興味・関心である「働き方改革」と、商材の「セキュリティー商材」が結びつきます。テレワークや在宅勤務における課題を提示し、その解決法としてこんな商品、ソリューションがあるよというと、課題解決の過程でセキュリティー商材が自然な形で出てくるわけです。

メディアの知見はコンテンツマーケティングの集客に生きる

クライアント企業にそうしたWebコンテンツを提供するなかで、必要なスキルや、担当者様から期待されている点は何ですか。

雨宮 一つは、日経BPグループとして、いわゆるマスメディアの発信する旬な情報が何か、ということへの敏感なアンテナがあります。一般的な興味・関心をつかむ部分ですね。特にビジネスパーソンにささるポイントには、それなりの知見があります。

日経BP社の各ビジネス専門媒体

ブランドアップ、サイトへの集客、リードの獲得、顧客ロイヤルティ育成、などなどWebコンテンツに課せられる目的は様々です。当社には、日経BP社の各ビジネス専門媒体で経験を積んだ編集者をはじめ、企業メディアの制作に精通した約60名の編集者が在籍しています。 詳しくはこちら

日経BP社の媒体は、専門的な領域を扱ったものが多いのが特徴で、マスメディアとしてジャーナリスティックな観点からコンテンツを作成します。ある意味「読者ファースト」といえます。

一方、日経BPコンサルティングの立ち位置は、企業コミュニケーションのサポート、簡単に言うと企業が発信するメディアづくりをお手伝いしてきたので、「企業ファースト」の観点を持っています。
ただ、コンテンツマーケティングで訴求したい商材について最も理解しているのは、当社ではなく他でもないそれをつくっている企業自身です。本来、商材に関するコンテンツは自社でつくるのが一番よいはずです。ですが、それがいくらすばらしい商材や技術だったとしても、うまくターゲットに伝えられなければ宝の持ち腐れになります。よく商材や技術をきちんと「訴求せよ」「ブランディングせよ」といいますが、これは決して耳触りのよいキャッチコピーを考えろ、という意味ではありません。商材や技術をターゲットの興味・関心と結び付けよ、という意味であり、それを実現するのが、両者の間にコンテンツをスコンとはめる、コンテンツマーケティング(※)における編集力なのです。

しかし、世の中には、いわゆるマスメディアのように一般的な興味・関心をひくコンテンツづくりに長けたスタッフと、企業の商材をコンテンツ化するスタッフは多いのですが、その間を埋めるコンテンツ、つまり商材や技術をターゲットの興味・関心と結び付けるコンテンツをつくれるスタッフは、意外に少ないのが現状です。先ほど申し上げた「逆算からコンテンツをつくりあげる」方法は、両方を理解しなくては実現しないからです。

それを提供するのが当社の編集者であり、企業の担当者様に評価されている点といえるかもしれません。

※コンテンツマーケティングの考え方は「マーケティング用コンテンツ設計・制作ページ」にて解説。

コンテンツマーケティングでは2つ以上の業界に詳しい必要がある

商材や技術をターゲットの興味・関心と結び付けるコンテンツを制作するにしても、特にB2B商材は専門的な知識が必要とされるケースが多いです。

雨宮健人

雨宮 その通りです。さらに、商材を提供する企業の業種と、その商材を導入する企業の業種は、当然異なります。また、販路は複数にわたるでしょう。例えば、ものづくりメーカーが医療業界を開拓するなら、コンテンツ制作者は、ものづくりに詳しく、医療現場の実態にも通じる必要があります。その分野に通じていなくては、ターゲットを新規開拓したくても、彼らの興味・関心がどこにあるか理解するのは難しいからです。ゆえに、コンテンツマーケティングにおいては1つの業界に詳しいスタッフだけでは、リードを取れるWebコンテンツはつくりきれないと思います。

確かに1つの専門性に特化しているスタッフは、それ以外の業界には疎い印象があります。

雨宮 それはいたしかたない事実です。我々もすべての業界を一人で網羅できるわけではありません。ただし、それぞれの領域に専門性の高いスタッフが周囲にいますので、意見を募ったりブレストを重ねたりする機会には、他社より恵まれています。

「最近○○の業界で一番人気のネタは何?」「この商材ってこんなことができるけど需要ありそう?」といった質疑の積み重ねで、そのとき、その商品における最適なコンテンツの内容や立て付けを作り上げていくのです。

そうした編集者のスキルや、当社のノウハウなどを組み合わせて、ターゲットに刺さり、リードが獲れるコンテンツを制作していくのですね。秘訣その4につづきます。

雨宮 健人

コンテンツ本部 本部長雨宮 健人

経営層へのIT活用をメインジャンルに、2007年からB2Bマーケティング、社員・OB向けインナーブランディングの媒体制作に携わる。2016年まで「ANA AZURE」(ANA)編集長、「Biz Clip」(NTT西日本)編集長、「周年事業ラボ」(日経BPコンサルティング)編集長などを歴任。

連載:デジマ担当者のためのリードが獲れるコンテンツマーケティング実制作の秘訣

ブランド・ジャパン企画委員会からの提言

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